『最強のふたり』は、富豪と介護者、異なる境遇の2人が友情を育む感動映画です。フランスで大ヒットを記録し、主演はフランソワ・クリュゼ、オマール・シー。頚椎損傷で車椅子生活を送るフィリップと、スラム出身のドリスは、正反対の性格ゆえにぶつかり合いながらも、次第に強い絆で結ばれていきます。本作は、フランスで歴代観客動員数3位を記録するなど、世界中で高い評価を受けています。
映画『最強のふたり』の作品情報
製作年 | 2011年 |
公開日 | 2012年9月 |
上映時間 | 113分 |
監督 | エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ |
キャスト | フランソワ・クリュゼ、オマール・シー ほか |
原題 | Intouchables |
脚本 | エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ |
制作国 | フランス |
映画『最強のふたり』の登場人物(キャスト)
フィリップ:フランソワ・クリュゼ
フィリップは、頸髄損傷で首から下が麻痺した大富豪であり、ドリスというアフリカ系青年に雇われ、介護を受けることになる。二人の介護生活を通じて、心温まる友情を築いていく。
ドリス:オマール・シー
ドリスは障害者の介護士としてフィリップの身の回りの世話をするが、彼が持つユーモアと前向きな姿勢は、フィリップに新しい人生を見せ、心の支えとなる。
イヴォンヌ:アンヌ・ル・ニ
イヴォンヌは、フィリップの助手であり、彼を支える存在。ドリスを雇うことに反対するが、最終的に彼に協力し、フィリップとドリスの友情を応援する。
マガリー:オドレイ・フルーロ
マルセール:クロティルド・モレ
エリザ:アルバ・ガイア・クラゲード・ベルージ
ファトゥ:サリマタ・カマテ
ミナ:アブサ・ダイヤトーン・トゥーレ
アダマ:シリル・マンディ
エレオノール:ドロテ・ブリエール・メリット
バスチャン:トマ・ソリヴェレ
アルベール:クリスティアン・アメリ
アントワーヌ:グレゴリー・オースターマン
映画『最強のふたり』の簡単なあらすじ
スラム街出身の若者ドリスは仕事探しの中で、失業手当をもらうために面接を受けるが、偶然にもフィリップの世話役になることが決まりました。しかし、ドリスは就職活動に毅然とした態度で臨んでいたにもかかわらず、介護の資格もなく、初めのうちは上手に仕事をこなせませんでした。フィリップも、ドリスが無職で前科があることを知って、彼を信頼することに躊躇していました。それでも、ドリスはフィリップに一か月の試用期間を与えられ、二人は共に生活することになりました。 最初の頃は、ドリスはフィリップの介護に苦戦していた。二人の間には、音楽、服装、年齢、人種、言葉の違いなど、たくさんの違いがあった。しかし、二人は本音で語り合うことを通じて、徐々に打ち解けていきます。
フィリップには、半年間も文通していた女性がいたが、彼はドリスの助言で関係を進め、人生が大きく変わることになった。そして、笑いあり、涙ありの二人の友情が始まりました。
この映画は、貧困、麻薬、移民、病気、死別、養子、障害者のセクシュアリティなど、多くの社会問題を扱いながら、男同士の深い友情を描いた感動的な作品です。
映画『最強のふたり』の見どころ
見どころ①:主演二人の演技力
この作品は、障害や差別、貧困などの厳しい現実を取り上げつつ、心温まるコメディの要素も含んだ映画です。
主演のふたりは、大げさなコメディ演技でも、深刻なシーンでもなく、非常に自然な演技を見せています。 ふたりの距離が縮まっていく様子は、大きなイベントによって引き起こされたものではありません。それは、些細なおしゃべりやいたずらのような些細なやり取りの中で描かれています。たしかに、フィリップが発作を起こし、ドリスが看病する場面が出てきますが、ふたりが親密になるきっかけとして描かれているのは、深夜のカフェでの会話や、散歩中に起こる日常的なシーンなのです。
このように、ふたりが親密になるきっかけは、単純なイベントではありません。むしろ、ふたりがリラックスして普通に会話する姿勢が、自然に親密な関係を築いていく描写になっています。
ふたりは普通なら出会わないような人たちであり、お互いの些細な行動や言動に惹かれて親密な関係を築いていく様子は、見る人たちの心にも自然に入り込んでくるでしょう。
見どころ②:現代フランスのリアルな生活の描写
ドリスは介護職の面接から帰り、フランスの郊外にある団地に住んでいます。養母はドリスを叱りつけますが、フランス語以外の言葉が時折交じります。そのため、彼らが移民であり、フランス以外の国にルーツがあることがわかります。 こうした人々は差別に直面し、良い職に就けないため、貧困に陥ることがあります。フランスでは、低所得者の移民などが公共住宅で安価に住んでいる場合があります。ドリスの家族もこのような環境で暮らしていると考えられます。また、移民や貧困層の人々は、十分な教育を受けることができず、教育を受けていても実用的な資格を取得することが難しいため、就職することが困難なことがあります。 仕事が見つからなければ、貧困に陥る可能性が高くなります。実際、劇中では、ドリスがフィリップの髪を洗うとき、文字が読めずにシャンプーと足のクリームを間違えてしまう場面があります。また、彼はフィリップの車を運転していますが、当初は免許を持っていないようでした。 ドリスが強盗をして服役し、その弟が悪い仲間と付き合うようになったのも、普通に就職してお金を稼ぐことが難しいため、貧困から抜け出すことができなかったからかもしれません。
見どころ③:実話をもとにした物語
「最強のふたり」は、フィリップ・ポゾ・ディ・ボルゴさんとアブデル・ヤスミン・セローさんという、体が不自由な男性とその介護人の友情を描いた作品です。フィリップは自らの体験を綴った本を出版し、それがドキュメンタリーになりました。そして、そのドキュメンタリーが映画化され、「最強のふたり」というタイトルで公開されました。エンドロールでは、二人の現在の様子が紹介され、切なくも強い絆を育んだ彼らの姿に感動します。この映画を通して、楽しむことを忘れずに生きることの大切さを教えられます。二人が築いた積み重ねの努力と勇気は、私たちに生きる希望を与えてくれます。
映画『最強のふたり』のあらすじ・ネタバレ
あらすじ①:二人の出会い
暗闇に包まれたパリの街を高級車がスピードを上げ、他の車を巧みに避けながら走っていた。車を運転しているのは若い黒人男性で、同乗しているのは中年の白人男性だ。しかし、そのままでは警官に捕まってしまい、車が停まる。黒人男性は、助手席にいる男性が障害者で緊急性のある医療処置を必要としているため、病院に向かっていたことを説明した。警察官たちは車を先導して病院へ連れて行き、黒人男性は障害者の同行者を救うために全力を尽くした。パトカーが去った後、2人は安堵の笑みを浮かべながら、病院を後にした。
豪邸の廊下でフィリップと彼の秘書マガリーが、介護人を募集している。一方、面接に来た応募者たちはなぜこの仕事に就きたいのかを答えている。中には失業保険をもらうために面接を受けたドリスもいた。フィリップが電動車いすで座っており、口で会話することができる。マガリーは彼のために面接を担当しており、候補者たちに質問していた。唯一、ドリスは就職活動をした証明をもらいに来ただけだったが、マガリーに魅力を感じて彼女の携帯番号をもらった。
フィリップは、ドリスが自分を障がい者として見なかったことに興味を持ち、彼を介護人として雇うことを決めた。それ以来、フィリップとドリスは親密になり、互いを理解し合っていた。
あらすじ②:試用期間
そんなドリスはアパートに戻り、久しぶりに家族と再会するも、家族の中でも不良グループに加わっている弟を見かける。そして、母親には半年間の留守にお詫びとして盗んだ装飾品を渡したが、叱られるだけで喜ばれずいえから追い出されてしまった。
フィリップの屋敷に行ったドリスは、豪華な住み込みの部屋に通され、試用期間を与えられた。フィリップの介護方法を教えられる中、看護師から浮腫み防止のストッキングの履かせ方から排せつの手助けまで教わる。ドリスは雑ながらフィリップを一人の人間として介護することになる。車で外出するときには、黒い乗用車を使い、フィリップの周りの人々からは素性がわからない介護人として心配されていたが、フィリップは自分に同情していないことが気に入っていた。
ある日、フィリップが苦しそうな呼吸音を立てていたので、ドリスは彼をパリ市街に連れ出し、マリファナを吸わせた。二人はカフェで話をする中で、フィリップの頸椎損傷の原因や妻との愛情の物語、養子縁組のことなどを話す。試用期間が終わり、ファルベルジェの卵を返すように言われたドリスは、学校に妹を迎えに行き、卵はどこか尋ねるが、誰も知らなかった。
あらすじ③:フィリップの恋
フィリップは、障がいを抱えることを隠し続けながら、秘書のマガリーに口頭で話した内容を手紙に書き換えてもらうことで半年前から文通をしていた女性エレノアと交流を深めていた。
一方、ドリスはフィリップが回りくどいやり方で手紙を書かせていることに不快感を覚え、エレノアの手紙から見つけた電話番号に電話し、フィリップとエレノアを繋いだ。
その後、フィリップとエレノアはスピーカーフォンを介して長電話をするようになった。フィリップはエレノアに自分の写真を送ることになり、ドリスは写真を選んでいたが、フィリップは自分が障がいを抱えていることを隠すため、助手のイヴォンヌに自分の事故前の写真を送らせたのだった。フィリップとエレノアはお互いに気持ちを寄せ合っていたが、フィリップが隠していた秘密がいつかバレることを恐れていた。
あらすじ④:フィリップの誕生日パーティー
ドリスは、フィリップの娘エリザに悩まされていた。エリザは彼女を見下す態度をとり、ドリスは彼女の生活態度を改善する必要性を感じていた。フィリップにエリザについて相談した後、ドリスは彼女を注意するように求め、エリザにお灸をすえる手助けをした。
フィリップの誕生日パーティーは、毎年知人からの堅苦しい出し物であったが、ドリスがダンスミュージックをかけて、参加者たちは楽しく踊り始めた。フィリップは今までになく、楽しく過ごすことができたのだった。ドリスはパーティーの中心的存在となり、楽団の前でお気に入りの曲をスマホでかけて、踊りを見せた。フィリップと他の使用人たちも踊りに加わり、パーティーは楽しく盛り上がった。
あらすじ⑤:ドリスの門出
その夜、フィリップはエレノアからの手紙を受け取った。彼女はパリに来るということで、会えないかと誘われた。フィリップはイヴォンヌとドリスに付き添われて、パリのカフェでエレノアを待つことにした。カフェでドリスはビルの清掃をしている母を陰から見つめていた。フィリップは緊張のあまり最後まで待つことができず、ドリスを呼び出した。しかし、デートをドタキャンしてカフェを出るときにエレノアが入ってきたが、お互いに気づくことはなかった。
ドリスはフィリップを乗せた車を運転し、パリの空港に向かった。フィリップはハンググライダーを楽しむため、ドリスを誘って飛行機に乗り、彼女も徐々に空中散歩を楽しんだ。帰宅した2人を待っていたのは、問題を抱えたドリスの弟だった。フィリップは彼を気遣い、介護を辞めて自立するようにドリスを励まし、彼女は運送会社で働くことになった。フィリップの下で身に付けた芸術の素養が面接官に好印象を与え、ドリスは採用された。
あらすじ⑥:再会
フィリップは新しい介護人を雇ったが、彼はドリスの代わりにはなれなかった。ある晩、フィリップは幻覚痛の発作を起こし、緊急にドリスに連絡をすることになった。ドリスが到着し、フィリップを車に乗せ、海沿いの別荘へ向かう。そこでドリスはフィリップのひげを剃ってあげ、レストランに行く予定を立てる。しかし、ドリスは突然テーブルを去り、エレノアという女性がフィリップの前に現れる。ドリスはフィリップがエレノアと出会えるように手配したのだった。フィリップとエレノアの会話を見届けたドリスは、海辺を歩いて去っていった。
実話に基づく物語は、その後のフィリップや介護人アブデルの幸せな姿で締め括られる。
映画『最強のふたり』まとめと感想
映画『最強のふたり』は現代フランスの社会情勢に触れつつ、パーソナリティが全く異なる二人の男性の友情を描いた物語です。
実話をもとにしているからこそ、リアルな描写も含んでいて、見る人の心をつかむ作品です。
ダイバーシティが進む世の中だからこそ、私達もフィリップとドリスのようにお互いの価値観を認め合いながら良い人間関係を作って行きたいですね!