第二次世界大戦後、シベリア収容所で60万人以上の日本人が過酷な状況に置かれました。
本作品は実話をもとにした小説『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』と映画『護られなかった者たちへ』は、実在の捕虜・山本幡男の遺書や熾烈な半生を描いています。
物語は、山本の不屈の信念と仲間思いの姿勢が、厳しい環境と過酷な労働に耐える他の収容所者たちの心を動かし、彼らの生きる力を取り戻していく様子を描いています。
映画では、辺見じゅんの小説を基に瀬々敬久が監督し、二宮和也が山本、北川景子がモジミを演じ、山本幡男の感動的な物語が新たな形で語り継がれます。
映画『ラーゲリより愛を込めて』の作品情報
公開日 | 2022年12月9日 |
上映時間 | 134分 |
監督 | 瀬々敬久 |
キャスト | 二宮和也、北川景子、松坂桃李、中島健人 ほか |
原作 | 辺見じゅん |
脚本 | 林民夫 |
制作国 | 日本 |
主題歌 | Mrs. GREEN APPLE『Soranji』 |
映画『ラーゲリより愛を込めて』の登場人物(キャスト)
山本幡男:二宮和也
シベリア収容所を経験した青年。
作中では、過酷な収容所生活の中で、仲間たちを励まし、支える存在。
山本モジミ:北川景子
山本幡男の妻。
山本の収容所を支え、彼の帰国を信じ続ける強い意志を持つ女性。
松坂桃李:松田研三
シベリア収容所での山本の仲間。
母親に再開するため、山本達と困難に立ち向かう。
新谷健雄:中島健人
シベリア収容所での山本の仲間。
明るい正確で、収容所のムードメーカー。
相沢光男:桐谷健太
シベリア収容所での山本の仲間。
最初は山本のことを嫌悪していたが、次第に友情が芽生える。
山本顕一(壮年期):寺尾聰
原幸彦:安田顕
【その他キャスト】
奥野瑛太
金井勇太
中島歩
田辺桃子
佐久本宝
山時聡真
奥智哉
渡辺真起子
三浦誠己
山中崇
朝加真由美
酒向芳
市毛良枝
映画『ラーゲリより愛を込めて』の簡単なあらすじ
『ラーゲリより愛を込めて』は、第二次世界大戦後、シベリア収容所を経験した実在の日本人捕虜・山本幡男の物語を基にした映画です。
山本は強制収容所で極寒と労働にさらされながらも、妻モジミとの帰国の約束を守るために奮闘します。仲間たちとともに過酷な状況に立ち向かい、希望を失わずに生き抜く姿勢が物語の中心です。
物語は、1945年、満州で暮らす山本幡男が、ソ連軍の捕虜となり、ハバロフスクのラーゲリ(強制収容所)に送られるところから始まります。
山本の遺書を通じてストーリーは展開され、彼の絶対に帰国するという信念と行動は仲間たちに希望と勇気を与えました。その中で過酷な自然環境や労働に耐えながらも、愛と希望を胸に生きる力強いメッセージが込められています。
映画『ラーゲリより愛を込めて』の見どころ
見どころ①:キャストの演技力とリアルな描写
第二次世界大戦後にソ連軍の捕虜となり、シベリア収容所の過酷なシベリア抑留の様子をリアルに描いている点が見どころの一つです。
シベリアの荒涼とした風景を美しく捉えており、物語の舞台が物理的な厳しさとともに感情的なドラマをより深く印象づけます。
また、過酷な労働と栄養失調、病気なども生々しく描かれており、そんな過酷な環境の中でも山本たちは希望を捨てずに生き抜いた姿が、リアルに描かれています。
見どころ②:過酷な環境でも希望を持ち続ける山本
戦争の悲惨さや、希望を捨てないことの大切さを訴える作品である点も見どころの一つです。
ラーゲリでは、戦争によって引き裂かれた家族や、愛する人を失った人々が、過酷な生活を送っていました。
本作は厳しい状況で仲間との絆がどれほど大きな支えとなるかを感動的に描いており、その中で山本が希望を捨てないことの大切さを仲間、そして見ている人に教えてくれる作品です。
見どころ③:山本とモジミの愛
本作は主人公である山本と彼の妻モジミの深い愛情が物語の中心となっています。
山本は収容所での過酷な環境の中、モジミと子どもたちとの再会を信じ続け奮闘します。
また、同じようにモジミも山本がラーゲリに送られた後、11年間の間彼の帰りを信じて待ち続けました。
遠い距離で会えない中でもその強い愛が二人を支えている絆を感動的に描かれている点も、見どころの一つです。
映画『ラーゲリより愛を込めて』のあらすじ・ネタバレ
あらすじ①:家族の別れ・収容所生活の始まり
1945年、山本幡男は妻のモジミと幼い4人の子どもと一緒に満州のハルビンで暮らしていました。第2次世界大戦中の日本では、当時沖縄が陥落し、広島に原子爆弾が落とされたという話が伝わっていました。
日本の敗戦を感じた山本は、家族と日本へ帰ろうとしましたが、8月9日にソ連が突如満州に侵略してきました。
その時に家族をかばい怪我をした山本は一人満州に残り日本で会おうとモジミに約束しました。
しかし、日本の敗戦の際に満州にいた日本兵はソ連の捕虜としてシベリアの奥地にあるスベルドロフスク収容所(=ラーゲリ)に収容されてしまいます。そこで、山本らの過酷な収容所生活が始まりました。
シベリアが故に気候は常に寒く、肉体労働で娯楽のない日々に逃げ出そうとする人もたくさんいましたが、逃げ出す人たちはソ連軍によって罰則や射殺を受けてしまいます。
捕虜はみんな日本で会いたい人ややりたいことがある人が多く、乗り越えようとするも限界が来てしまう人も多かったです。そんな中で山本は、常に希望を捨てることなく仲間を励まし続けました。
あらすじ②:帰国の希望
そんな収容所での暮らしを続けていた山本らでしたが、ついに帰国の通達があり全員が歓喜しました。山本もついにモジミと子ども達に会えると喜びます。
シベリアに来た際と同様に、貨車に乗って湖を見ながら皆が帰路につきます。
しかし突如貨車が止まるとともにソ連軍がやってきて、「今から名前を呼ぶものは下車しろ」と告げます。山本が名前の記載されている紙を渡され読み上げますが、そこには相沢、松田、などと主に山本の名前も入っていました。
貨車を降ろされた山本らは徒歩で再び収容所まで連れて行かれます。
そこでは重罪を犯した者が連れてこられるとのことで、25年間もの強制労働が言い渡されました。山本はソ連軍に対しての諜報活動をしていたとのことで、見に覚えがなく否定をするも受け入れられませんでした。
そして再び長く過酷な収容所生活が始まります。
以前の収容所と同様に厳しい環境で、倒れる仲間たちも少なく有りませんでした。
一方、日本で苦しい生活をしていたモジミも子ども達の開く日のために教員に復職して働きだします。山本と同様に再開への希望を持っているモジミは自己紹介で自分の名前よりも先に好きな言葉として「希望」という字を先に書き、名前を言っていないことを生徒に指摘されるという微笑ましい姿がありました。
あらすじ③:山本の病
収容所での作業中、黒い犬がやってきました。新谷が少ない自分の食料を与え日本兵に懐き、山本はその犬(クロ)を連れて帰り収容所ですくすくと成長しました。過酷な生活とソ連軍からの監視tの中でも、俳句を読んだり山本お手性のボールで野球をしたりと、日本兵たちの中で娯楽をして更に絆が深まります。
そして終戦から7年、ついに日本とのハガキのやり取りが認められたのです。皆会いたい故郷の人に手紙を書き、返信を待ちます。
しかし返信が来て喜ぶものもいれば、最愛の妻や母を亡くしていたことを知り悲しみに暮れる人もいます。
そんな中、モジミからの返信をみてとても喜ぶ反面、咳込みながら体調が優れない様子も見られました。
その後、仲間とも見合いになった際に山本は倒れます。収容所内の病院では耳の調子が悪く中耳炎と診断されますが、あまりに体調の優れない山本を見て仲間達は重病に違いないと確信します。
そこで、日本兵達は作業を放棄し、「山本を大病院で診察させないと作業はしない」とソ連軍に交渉します。今まで山本に希望を見せられてきた日本兵達は、ソ連兵に銃を突きつけられても逃げませんでした。
そして彼らの交渉が実を結び、ついに大病院で診察を受けることができました。
しかし、大病院から帰ってきた山本が皆に告げたのは、末期の喉のがん治療は不可能、余命も3ヶ月ほどであるという絶望的な事実でした。
希望を持ち続けた山本も絶望という言葉を口にします。日本兵たちは、今まで山本に見せてもらった希望を今度は本人に返していくよう言葉をかけていきます。
あらすじ④:山本の死
病で病室から動けない山本に対し、仲間達がノートを手渡します。
1冊は山本が現地のことをかく「未来のために」ノート、もう1冊は「遺書」でした。
そしてそれらのノートに言葉を綴った山本は、最期病室で「未来のために」を書きながら息をひき取りました。山本の遺体はシベリアの大地に埋められます。山本の遺体を載せた車を追いかけていったクロは、それ以降収容所には戻りませんでした。
更に不運なことに、山本の「遺書」は厳しい手荷物検査をかいくぐることができずソ連兵に没収されてしまします。
その後ソ連と日本の国交が回復し、ついに日本兵の帰国が認められ、収容所にいた日本兵たちは帰国できることになります。
そんな中、日本にいるモジミは日本兵の帰国より先に電報で山本がなくなったことを知ります。希望を持って山本の約束を信じていたモジミは悲しみ、家の庭で号泣しました。
あらすじ⑤:記憶の遺書
ある日、モジミの元に山本の収容所での元上官である原がやってきます。
原は「遺書を記憶しているので伝えに来ました」とモジミに伝えます。なんと、収容所の4人の仲間が「遺書」を没収されることを想定して一言一句すべて暗記していたのです。これは山本が生前仲間の新谷に「頭で考えていることは誰にも奪えない」と伝えていたことがきっかけです。
そしてそれを帰国後に全員がモジミのもとに伝えに行くという計画をしていたのです。その一人目が原でした。
後日に、松田、新谷、相沢がモジミはもちろん母や子どもたちに向けた遺書を暗記して伝えに来ます。モジミは最期の相沢が遺書を伝えた後、山本のプロポーズの記憶を思い出し微笑見ます。
時は飛んでで現代に行きます。山本の長男顕一がおじいさんになり孫の結婚式でスピーチをしています、
顕一は、「人間らしく生きるとはどういうことか」を多くの人の記憶に残した人で、自分もそう有りたい、と話すシーンで本作は幕を閉じます。
映画『ラーゲリより愛を込めて』まとめと感想
個人的に実話の映画がとても好きで、本作品も漏れることなくとても好きでした。。
山本やモジミのように、自分の信じた道に常に希望を持って進んでいる人は、いつの時代も周りにも影響を与えられる素敵な人と思います。
また、本文中にも記載しましたが戦時中や収容所での描写もリアルで臨場感のある作品でした。(キャストもすごい)
以下に予告動画のURLも貼っているので興味ある人はぜひ見てみてください!